-forte pianissimo- 

LALARIEZE本人による全曲解説

DISC1

1.Autumn Memory You Tube
メロディは2013年に作曲されたものを中心に構成されてますがCメロやラスト大サビなどは高校時代の曲のセルフ拝借です。この曲はAメロとBメロでかなりバシッと決まってしまうのでその先がなかなかはまらず苦労しました。今回はCメロを疾走パートにして、1番Dメロは落ち着いたバンドサウンド、2番Dメロはピアノと歌のみという構成にしました。
2009年の自分に対する対抗心もかなり現れていて、イントロの低音のリードは「My last shine」を思い起こさせますし、Aメロの「ミレ#ミ~」や「レド#レ~」などの半音の動きは「月光」のサビを思い起こさせます。そしてそれらの曲を超えられたと自分では思っています。若かりし頃のメロディと少し大人になってからのメロディが融合したアルバムのオープニングにふさわしい曲になりました。
そしてこの楽曲でギターを弾いてくださったのはAREA51の石野洋一郎様。アルバムのミックスも担当してくださっているのですが、1曲目のインパクトがもうちょい欲しいということで、追加アレンジとギター演奏をダメもとでお願いしてみたところ快諾していただきました。ただ、私のヘナチョコギターソロもそれはそれで気に入っていたので、私のソロと石野様のソロが交互に登場したり、一部ハモったりと、非常に贅沢な内容になりました。配信用リメイクにおいて英語版の詞を書いてくださったのはKanaさんという女性の方で、音の響きなど非常によく練られていて感動しました。

2.アイドル You Tube
2013年に制作。私の全ての楽曲の中で最もくり返し聴いた曲です。何回でも聴きたくなるお気に入り曲です。これも2009年頃の作風を意識していますが、サビのメロディはKANさんの「雪風」の影響を受けてます。私が「雪風」を初めて聴いたのは2011年のモスクワでのライブのネット生中継でした。その頃はもうKANさんのアルバムは揃えていたので、「何これ?新曲?」と驚いたのを覚えています。歌のメロディも綺麗ですが、特にあのオクターブのピアノのイントロは一撃でやられましたね。後でタイトル調べてニコ動で聴きまくりました。「BAD HISTORY」(原曲の方)も曲構成は「TOP SECRET」を意識したと言いつつピアノのフレーズは「雪風」の影響の方が強いですね。
「雪風」の16部音符のイントロですがオクターブを無視すれば「ラシドレラシドレソシドレソシドレファシドレファシドレ」と「シドレ」を固定して最初の音が下がっていっています。これがすごく綺麗で、そこから「ラシドレソシドレ」というフレーズが入ったメロディを自分も作っていみたいと思ったのが始まりです。で僕のよく使う定番コード進行Im-IVm-bVII-bIIIに入れようと思うと2小節、3拍目からのところになります。それに合うようにその前後を考えました。まず、下に降りる感じを出したかったので最初は「ラシドレ」を2度上げた「シドレミ」で始めます。このころは9度の音で始まるのが結構はまっていたのと、「ミ」が出てくるのでメロディのコード感もしっかり出てばっちりはまりました。そして1小節2拍目からですがこれはちょっと迷ったんですが、8分音符4つでひとまとまり的な感じをここでちょっと崩しておく意味で2つたして「ラシドレミファ」と音階を駆け上がりました。ブレスを入れて「ラシドレソシドレ」につなげます。
ここまでのメロディを振り返ると「シドレミ」が1回、「ラシドレ」が2回出ているので、じゃあ規則的に「ソシドレ」は3回繰り返そうということで、3回入れます。そうするとⅠコードの部分が「レソシドレ」になるのでもう少しコード感を補強できるメロディにするため、とってつけたように「ソミド」とコード構成音を残りの部分に詰め込みます。これで4小節完成。
さて、後半です。流れ的に「ファシドレ」の繰り返しを4つ入れたいところですが、さすがにそれでは歌っぽくならないので、変化をつけます。最初の4小節が上昇音階で構成されているので下降音階の「ファミレド」で始めます。以降は「ファシドレ」でも良いのですが歌いやすさの点で最初を3度上げて「ラシドレ」にします。ですがどこかで「ファシドレ」も入れておきたかったので真ん中で1回だけ登場させました。
かなり長々と書きましたがこう色々と自分の中で意味づけをしながら作ったメロディのほうが、楽器を弾きながら何となくできたメロディよりもはるかに愛着がわきますよね。サビでゆっくりになって、歌のメロディは8分音符中心になるというのは2009年からやってますが、その私の定番スタイルにKANさんからの影響を組み込んだのは自分でもよくやったなぁと思っています。あと、これは後から気付いたのですが、サビの「シドレミラシドレミファ」を「シドレミラ」と「シドレミファ」に分けて考えると「雪風」のAメロの「ラシドレソ~、ラシドレミ~」を丁度2度上げた形になるんですね。「イントロから影響を受けて作ったのにAメロにつながっちゃったよ~」と一人で勝手に感動してしまいました。歌詞のはめ方も秀逸だなと思います。サビは対象がアイドルでなくても響きますもんね。私はアイドルには興味ありませんが、美人な方に会うたびにこの曲を聴いて、胸に刺さるなと痛感しています。
編曲・ギターはイマジナリースタジオの近藤充様。原曲のアレンジを元におしゃれな色付けをしていただきました。そして配信用リメイク版のソロは池住祥平様(Arbus)に弾いていただきました。4小節ごとに私の作ったフレーズと池住様の作ったフレーズが交互に展開されますが、それが自然につながっていて、私の全曲の中でも一番好きなギターソロになりました。


3.不登校 You Tube
今となっては私がやりたかった音楽のある意味完成形といえる楽曲になったと思います。
私の考えとして「美しいメロディと歌として良いメロディは同じではない」というのがあります。でもインストではなく歌モノとして表現したいという葛藤ももちろんあります。歌で表現できる美旋律の限界に挑んだのが「アイドル」で、これ以上はもう歌えないと思っていたのが大学時代の私の話。その後、2015年、新たなスタイルとしてできたのが「Aggressive my heart」「読書美人」「Autumn Memory」でみられるサビを全部歌わない、主旋律をピアノに譲って、一部のみ歌をかぶせるというスタイルです。「不登校」はその完成形といえると思います。サビの3連符はや和音は歌では絶対表現できませんし、あれがあってメロディの綺麗さが際立っていますからね。前半8小節は全く歌わず、後半8小節で歌をかぶせるというアプローチも、繰り返されたメロディに違う印象を与えることができて、秀逸だなと思います。
逆にAメロは「アイドル」以上に挑戦するようなメロディですね。「これ歌メロにする?」って思うような詰め込み方です。でも「ドシラソファミレド」とオクターブを下るところは結構綺麗にできて気に入っています。なかなかストレートに「ドシラソファミレド」が歌に入っている曲はないですよね。8分音符詰込みメロディのこれもある意味集大成のようなものを感じます。Bメロは2013年のものをとりあえず借用。
2番以降のピアノの繰り返しで1オクターブ上げるのは「BAD HISTORY」およびその元ネタであるKANさんの「TOP SEECRET」から来ています。そのピアノのサビだけでも十分曲は成立するのですが、もうひと押しするために2番の後、疾走するさわやかな大サビを追加しました。歌詞の内容的には「読書美人」に近いですが、一応こちらは主人公が中学生という設定です。中学生ではありませんが、ドラマ「Q10」に出てくる富士野月子のようなイメージで書きました。
この曲の編曲・ギターもイマジナリースタジオの近藤充様。この楽曲は原曲のアレンジがとってつけた感じで、そもそもメタル部分はサビのピアノの引き立て役なので私自身のこだわりがあまりなく、イントロや間奏はもうお任せという感じになりました。出来上がったものを聴いたとき予想以上にカッコよかったので歌メロが少しかわいそうでしたが、あくまで主役はピアノなのでこれで良しです。

4.Aggressive my heart
大サビのゆっくりになるところのみ2013年作曲で、他は2015年に書かれたものです。メロディはひたすらアニソンっぽくという意識で作りました。Bメロ以外はファを使わないので力強いメロディになってますね。私にはかなり珍しいメロディです。みなさんご存知だと思いますが、僕はサビでガーンと勢いづくような曲は基本あまり好きではないので、自分の中ではその後のゆっくりになる部分をサビと解釈しています。このゆっくりになる大サビも歌うのは難しく、一応一回は歌っていますが2回目はピアノで弾いてピアノがメロディを聴かせる主役みたいな感じですね。
ギターはRio.T様。ソロのラスト部分以外は原曲のフレーズを完コピし、しっかりと打ち込みを超える味を出していただきました。感謝です。

5.夜景の見える窓
2010年のアルバム「MISTAKE」5曲目に収録のバラード。50TAさんの「涙」の影響が出てますね。バラード部分は当時のアレンジを踏襲していますが、キーが大幅に上がりました。このアルバムの中でも特にヴォーカルパフォーマンスが気に入っています。
2番以降の展開は2016年に思いついて遊びで作ってみました。人によっては「なんで?」と思われそうですが、こういうアレンジがあってこそ私の楽曲ですし、逆にそれがないと単調で何回も聴けないのではという気さえします。どんな展開になっているかはCDを買ってからのお楽しみ。
編曲はBronze works様。私のMIDIを元に作っていただきました。V-METALのパートはほぼ私が作ったもののままです。

6.rainy street
2010年のアルバム「MISTAKE」6曲目に収録されていた曲。今作の中でもかなりの異色作で、マイナーなバラードという感じですね。でもこの独特の雰囲気があとから癖になったりするんです。聴いてると自分は芸術家だなぁと感心したりします。サビの後、静かになってさわやかなメロディーが出てくるところは、作った時は無意識だったと思うんですが今思うと雨上がりのさわやかさを表現してるような気がします。ここがこの曲の一番の聴かせどころですね。
これの編曲もBronze works様、原曲のサビのギターやストリングスがだいぶ適当だったので、かっこいいアレンジに直していただきました。

7.四季とあの娘と
2010年のアルバム「MISTAKE」3曲目に収録されていた曲。「MISTAKE」はもともとボーナストラックをを除いて13曲入りのアルバムを作りたいというところからスタートし、何曲目にどんな曲というイメージが明確にあったため、ベストに再収録となると曲順の再考に非常に頭を悩ませたのですが、次曲「Jealous Fighter」がマイナーなメタルであるため8曲目でも良いと思い、その前の曲ということでここに配置されました。
これを作っていた時期は所謂4536のコード進行が好きでそれをサビに持ってきたのと、サビでゆっくりになるのがポイントです。8分音符の詰め込みは比較的少なく、笛のカウンターラインが心地よいですね。コーラスはハモるアイディアもあったんですがどうもしっくりこず、ミックスの終盤でユニゾンに差し替えました。なんでもかんでもハモればよいってもんじゃないという教訓になりました。
ギターとシンセを担当してくださったのはSOUND PLUS様。

8.Jealous Fighter
2010年のアルバム「MISTAKE」4曲目に収録されていた曲。もともとこういう曲を作ろうと思って作ったわけではなく、なかなか4曲目用の曲ができなくて最後に余ったフレーズを組み合わせてなんか作ろうとしてできた曲です。しかし、当時の私の精神状態もあって予想以上に悲しい曲になってしまいました。具体的にいうとアクションを起こす前の恋した小さな音楽家状態です。もちろん上記の理由から別の方をモデルに書いた歌詞も混ざってたり、もともと長調のメロディーを無理やり短調にしてたりして、そんなに説得力のあるものではないはずんですが、それでも今聴いてもすごく胸が締め付けられるような情緒的な曲です。当時の自分にとってこんなに聴いてて自分が嫌になる曲はなかったです。まぁこの曲ができて4か月後にこの苦しみからは解き放たれからよかったものですが。あなたの幸せを陰で祝うといった表現はかなりKANさんの「けやき通りがいろづく頃」の影響が入ってます。この曲はメタルですがこのときはとてもメタルを聴きたい精神状態じゃなかったんでKANさんの曲ばかり聴いてました。サビのメロディーが3種類あってドラマティックな展開を見せたのは、メロディーそのものよりも納得度が高いです。
ギターを弾いてくださったのはArbusでも活躍されている池住祥平様。ギターのトーンからは、余ったフレーズを組み合わせて作った曲にはもったいないくらいの泣きを感じます。速弾きの中にもしっかりメロディがあるところも素晴らしいです。

9.恋した小さな音楽家 You Tube
2010年12月に制作。この曲は「Jealous Fighter」の後に来るべきなので最適な場所にきましたね。アルバムの最後をバラードにするというのはよくありますが、今作の様にDISC1、DISC2それぞれの最後の曲の前にバラードが来て、最後にバラードではない、スケールの大きい深みのあるメタル曲で締めくくるのはすごく私らしくて気に入っています。
「Jealous Fighter」のモデルになった方に勇気を出して話しかけ、途中心折れそうになりながらもなんとかつないでアプローチを続け、告白し、フラれた後にできた曲です。今となっては笑える話ですが当時はいたって真剣でした。
KANさんの「秋、多摩川にて」のようなピアノが美しい曲にしたいと思って作りました。が、当初はピアノが弾けなくとりあえず16分音符を散りばめたような感じだったのでリメイクの際、無理ってなっていくつか音数を減らしました。それでもできるだけ原曲を再現するように練習したのはよく頑張ったなと思います。この曲のピアノソロは自分でもかなり気に入っています。

10.僕らの街の空
2010年のアルバム「MISTAKE」の13曲目、ボーナストラックを除くラストに収録されていた曲。13曲目というより本編ラストということが重要でしたが、ベストアルバムの最後は「メロディだけでひっぱって2019」以外あり得ないので、DISC1のラストに位置付けられました。私の高校時代の楽曲の中で最高傑作といえる曲で何種類もの違ったメロディーを完璧な構成でまとめ、サビではガラッと雰囲気が変わったりと当時の私の音楽センスを存分に発揮した1曲で、私が理想とするメタルとポップスの融合の一つの完成系といえました。現在は「メロディだけでひっぱって2019」がその上を行ってると思いますが。この曲はこの曲で良いなと思っています。歌詞の内容は実話ではありませんが、高校を卒業する時の心境をイメージにして表現しました。まだ殻にこもってた時期で、あまり周りの人とコミュニケーションが取れなかったんですよね。それを後悔するような気持ちもありましたし、それでもかまってくれた人に対する感謝の気持ちもむちゃくちゃ大きいです。まぁ照れくさいんですが、せめて曲にそういった気持ちを込めてもいいなということで相当な気合を入れて作りました。メタルで大作というと10分超えるものが多いですが、7分というコンパクトなサイズにまとめることで隙のない完成度になったと思います。「氷の部屋」ができた後この曲ができたので、アルバム「MISTAKE」は名盤になると確信しました。2019年現在でもアルバム「MISTAKE」は作詞作曲に関していえば文句なしの名盤だと思っています(ヴォーカルがもうちょいしっかりしてたらね...)。

DISC2

1.氷の部屋 MVフル(You Tube
アルバム「MISTAKE」8曲目で、アルバム制作で一番最初に完成した曲。この曲のサビのメロディはすべて頭で考えて作りました。高いドから下のミに下がるとか、「ドシラーソーファー」と動く下降音階、8分の「ドシ」と「レド」の盛り上がり感など、ここまでいろんな曲を聴いたり作ったりしてきて感じた好きな音の行き方が随所に散りばめられました。高校時代の私の短調のメロディの集大成で、大学時代からテンションノートが主張するようになってくる前のコードトーンメインで構成するメロディの完成形です。
私はB'zのアルバム「MONSTER」がすごく好きで、曲順を考える際に参考にさせてもらってるんで、アルバムの核になる曲として「氷の部屋」は絶対8曲目に来ないといけないと思っておりました。ただこれは13曲入りアルバムという上での8曲目なので、10曲×2の構成でどこに置いたらいいか迷いました。DISC2の1曲目においてみて「良いな」と思えた時、このベストアルバム全体の構成も同時に見えたのでやはり力を持った曲だなと思います。
編曲は私の単独で、このアルバムの中では唯一ギターソロが打ち込みの曲です。曲の世界観的に引きこもり的な感じなので、ヴォーカル以外に人間味がないのもありかなと思いました。孤独な感じや冷たい印象がそれはそれで気に入っています。もちろんそれは、他の楽曲で良いミュージシャンの方たちが良い演奏をされているからこそ、引き立っているものであります。
そしてこの楽曲で私としては初めてのMVが作られました。
後、この曲のピアノはAddictive Keysのフリー版を使わせていただきました(DISC1の「Aggressive my heart」もそうですが)。XLN Audio様、申し訳ないです。

2.拠点移動
9分越えの大作でありながらDISC2の2曲目という一瞬「え?」って思いそうな場所に位置した曲。2枚組のアルバムで印象深い作品としてはHELLOWEENの「Keeper of the seven keys -the Legacy-」で、大作がDISC1,2それぞれの1曲目に来るべきですが、DISC2の1曲目は「氷の部屋」で確定だったので2曲目に置いてみたところ、それはそれでいいなと思えたので、すぐに決まりました。本当に良いですよ。2曲目に大作が収録されているアルバムもありますしね。
アルバム「メロディだけでひっぱって」には「RETURN」という短めのロックバラードが収録されていましたが、本来この「拠点移動」が元の形です。ただギターパートが多く私の打ち込みではどうしてもしっくりこなかったので、前のアルバムでは短くしたものが収録されていました。今回はギターに前野直也様に担当していただいたため、本来の大作の形で収録となりました。7弦ギターやアコギ、ナイロン弦ギターなどいろいろな音が入っています。ソロもかなり弾きまくっていただきました。サビで独立したメロディを違うリズムで三段階で構成する仕方も気に入っています。歌詞は旅立つ人を見送るような感じですね。「僕らの街の空」では友達という感じがありましたが、こっちは親や先生的な視点で書いてます。途中の展開が多いですが、1stAlbumの「Sing for the Angelland」のメロディがいくつか流用されています。
ピアノの音はあえてチープな音を使いたかったのでCubase LEのHalion Sonic SE内のピアノを使用しています。こういういろんな音で遊ぶ感じもこのベストアルバムでは顕著ですね。

3.こごえる季節 
アルバム「メロディだけでひっぱって」ではメタルバージョンという表記があり、今作ではなくしていますがメタルっぽいアレンジは残っています。ただ今回は途中でボサノバ調に戻ったりと、より凝ったアレンジになりました。お約束のサビでゆっくりになる8分音符詰込みメロディですが、基本そのパターンは短調のメロディでやることが多かったので、長調の曲は貴重でした。クリスマス曲枠は他に候補もありましたがこの曲が残ったのはそのサビによるところが大きいですね。ただ、この曲の作詞は難しかったので別の方に詞を書いてもらうのもありだったかなという気持ちもあります。
この曲はボサノバ調なので3曲目確定です。KANさんの「香港SAYONARA」「STYLISTIC」が3曲目でしたからね。
編曲はイマジナリースタジオの近藤充様。間奏のギターソロがいい味を出していて気に入っています。

4.BAD HISTORY
原曲は2012年に制作。KANさんの「TOP SECRET」の、ピアノのフレーズがサビみたいな曲構成に衝撃を受け、自分も作ってみたいと思い制作しました。とはいえ16分音符をカタカタ言わすのは「雪風」の影響です。ピアノのフレーズではセカンダリードミナントが使われていますが。この時の僕はセカンダリードミナントを名前ぐらいしか知らなく、単にレにつなげるときにドを♯させたら綺麗だったってだけの話です。ピアノで作曲するとすごくコード進行を意識したメロディになりますね。
この曲はすごく気に入っていたものの、アルバムの雰囲気に合わすためにメタルアレンジになりました。「V-METAL」導入後めてアレンジした曲なので、いろいろと使い方に苦戦しました(慣れると使いやすいですけどね)。結構リフに力を入れてますが、こういうのはほんとに苦手なんです。ギター弾かない人なので、演奏しているイメージを持つのが難しいんですね。ピアノでリフを作ることも結構あります。ギターリフのフレーズをピアノの音色で弾くのもこれはこれでかっこいいななんて思います。
この気に入っているリフを再現してくださったのは池住祥平様。BPM210の高速曲に完璧に対応していただきました。ソロも速さだけにとらわれることなく、フレーズの良さが光っています。

5.イルカに乗った僕
アルバム「MISTAKE」10曲目に収録されていた曲。10曲目って私のイメージでは難しいんです。わかりやすいメロディーで、それほど疾走してもなく、サビで始まるのが望ましいけどアルバムの中で目立ち過ぎるのはダメとか、なんやかんやルールがあって。風呂場でこの曲のサビのメロディーを作った時は大問題が解決したという気分でした。これは絶対10曲目だと思いましたよ。なんとなく海をイメージする曲が良かったんで、このメロディはぴったりでした。ベストアルバム収録にあたりDISC2の5曲目というのもすぐに決まりました。曲の世界観がはっきりしているとおのずと配置する場所は決まってくるものですね。C-Am-F-Gのコード進行は私の曲の中でも少なく、このアルバムの中では唯一です。タイトルは「ポケットモンスター 金銀」の中であるキャラクターが「ラプラスに乗った少年 そんなうた 誰か歌わなかった。」みたいな台詞があったんで、そこから来ています。ちなみに作ったときは「イルカに乗った少年」という曲が存在することを知りませんでした。でもこっちのほうがイルカに乗ってそうなメロディーだと思ってます。
ギターは前野直也様。リフは私のデモを元に、ソロはお任せで弾いていただきました。カウンターライン的に入っているフレーズもほとんどが前野様のアイディアによるものです。多分曲を聴いてていろんなフレーズが出てくるんだろうなって、引き出しの多さは勉強になりました。

6.ヒーローは泣かない
愛良良の名前ができるきっかけとなったゲームソフト「パワプロクンポケット」のシリーズに出てくる芹沢真央モチーフにした曲。真央は主人公の記憶から自身を消し、ストーリーがハッピーエンドルートだと主人公は真央のことを思い出すのですが、バッドエンドルートだと思い出せません。その場合子どもに「泣いてるの」と聞かれた後、「見間違い。だってヒーローは泣かないから」と返します。その台詞に深い感銘を受けました。曲調は疾走からゆっくりになる王道の2段サビ構成となっております。ここ最近はゆっくりになるサビの部分でディストーションギターを入れないほうが好きですね。より引いた感じになるというか、メロディも際立つと思うので。ヴォーカルは2014Verを流用しました。なのでちょっと声の質感が他の曲と違いますよね。荒っぽい感じというか...。なのでこの曲のみSM58で録音しています。
ギターソロはRio.T様。オリジナルのソロを尊重したパターンも提示していただいたのですが、新しい感じを出したいと、お任せで新しいソロを作っていただきました。

7.読書美人
もともと、イントロとサビ前、AメロとBメロ、サビはそれぞれ別の曲でしたが、それがある時つながった感じですね。サビ前の「誰に言えるこんな恥ずかしい事 あなただってきっと笑ってしまうよね」っていう歌詞はメロディと一緒にあって、この歌詞がはまるシチュエーションを探していました。で、サビのメロディを「読書美人」というタイトルでつくるということもうっすらアイディアとしてあって、教室で一人で本を読んでいるあの子と話したいっていうシチュエーションが見事にはまったわけですね。聴く人が見事と思うかどうかはわかりませんが。でも主人公が小学6年生という設定をさらに追加したので詩を書くのはとても楽しかったです。「ぶん殴ってやるんだ」なんてまず他の曲の歌詞で使わないし、それがすごくかわいらしい表現になったので自分で聴いてても気持ちが良いです。そして、多分相手の女の子は主人公の事を友達とは思ってないんでしょうね。「言ったでしょ。友達なんかいらないって。」そんな台詞がはまりそうです。サウンドはサビ以外は重ためのメタルでサビで一転して明るくなる僕の大好きなパターンで、意識したわけではありませんが、ちょっと初期のHELLOWEENっぽい感じもありますね。コミカルさと激しさが共存してるあたりもそうですし、ツインソロもそんな感じしません?
この曲のサビも歌うのは難しいので2回目はピアノに譲っています。そして所々、歌える所だけ被せる。本当にこのパターン大好きです。
ギターは池住祥平様。ソロは結構オリジナルに近いフレーズで弾いていただきました。バッキングもオリジナルを踏襲しつつおかずも入れてくださっています。私の曲は結構がちがちなので(エンジニアの石野様も言われていました)アレンジを入れるスペースって本当に難しいと思いますし、ギタリストの方の申し訳ないと思うのですが、ちゃんと曲を聴いて的確な場所で変える、素晴らしい演奏でした。

8.リストカット
原曲は2009年ごろ、「Sonic Boom」と同時期に作られた「In bloody night」(「Wing of hope~完全版~」ボーナストラック)で、最初「リストカット」というタイトルで作っていたのをちょっと過激かなと思ってタイトルを変えたものでした。よって本アルバムではよりアグレッシブな感じを目指したので、もとの「リストカット」の方がタイトルにふさわしいと考え、こうなりました。とはいってもこちらは「Sonic Boom」とは違い、メロディ以外は原曲の要素皆無になっていますが。「BAD HISTORY」で機嫌をよくし、「もう1曲くらいメロデス風の曲があってもいいか」と思ったのと、CDで初めて聴ける曲が若干弱い感じがしていたので制作に至りました。演奏時間が3分台と本アルバムの中で最も短い曲で、もう勢いだけみたいな感じですね。サビはお約束ですが。歌詞の中身はあんまり深くとらえないでください。まぁ私も結構陰キャラなので、そういう心境の時期もあったってことです。別に隠す必要もないですし、今元気に生きてますし、なんか辛い思いして、何となくこの曲を聴きたくなるような気分になる人がいたら、どんな状況であれ、「大丈夫だよ」って言ってあげたいですね。
ただ、私はリストカット自体はしたことはないですし、肯定する気もないです。インパクトのある言葉としてタイトルにはしましたが、自傷行為は意味がないとは言いませんが、誰にもしてほしくはないですね。
リードギターとピアノはSOUND PLUS様にお願いしました。

9.夕暮れ散歩道
バラードですが「夜景の~」とは違い歪ギターの入ったアレンジです。私はバッハの「2つのヴァイオリン協奏曲」が好きなんですが、その影響が出た曲ですね。左右に振り分けられたヴァイオリンがうまくヴォーカルと絡んでそれをしっかりピアノが支えます。ギターがなくてもちゃんと成立するアレンジですね。2010年のアレンジと若干フレーズを変え、より絡ませ方に磨きがかかったのと、単体のフレーズとしても綺麗に響くようなアレンジになったと思っています。1つのサビにカウンターラインが2つつくのは私の曲では初めてですが、結構気に入っていて、このアレンジの手法は後に「メロディだけでひっぱって2019」でも生かされています。
ヴァイオリンを担当してくださったのは、松本一策様。本アルバム唯一のギター以外の生楽器です。私が作成したMIDIを完コピしていただきました。
ギターはSOUND PLUS様にお願いしました。

10.メロディだけでひっぱって2019 MVフル(You Tube
私が最も気合を入れて制作した楽曲。原曲は2011年11月に制作し、その時はメタル部分のない3分程度の楽曲でした。タイトルを見たらインストと思うかもしれませんね。KANさんを好きな人ならイントロを聞いた瞬間に何の曲を意識して作ったかわかると思います。ただ歌部分は「Listen to the Music」の影響の方が強いですね。確かシングル発売前のラジオオンエアで聴いて衝撃を受け、3日で詞曲完成したと記憶しています。そして「Listen to the Music」が発売される前に完成するという驚異的なスピードで仕上がりました。当時はバイトが結構忙しかったので、大学のピアノ練習室でアレンジしていたのが良い思い出ですね。歌詞がすごく気に入っていて、自分のメロディ作りに対する姿勢を素直に表現できたのではないかと思っています。しかしこのタイトルを「Melodymaker」とかにせず、KANさんの2010年のツアータイトルの「ルックスだけでひっぱって」をもじるところが、私らしいななんて思ったり。
そしてそんなKANさんリスペクトな曲が2015年12月、メタルにリメイクされてしまいました。もともと原曲に近いアレンジでリメイクしていたのですが、どうもパッとしない感じがありました。その中で403さんやGALNERYUSの新譜を聴くと、「ここでもういっちょメタル大作的なものを作りたいな」と思ってしまったりするわけです。しかし、大作のテーマになるメロディは相当なものでないといけないので簡単にできるものではありません。そこでこの「メロディだけでひっぱって」のサビをメタルの中にぶち込んでやろうというアイディアが出たわけです。
それ以前に作りたい曲の漠然としたイメージで、重ためのメタルで大作っぽくてサビは長調でピアノ弾き語りみたいな曲があったら面白いなということも思っていました。なので「メロディだけでひっぱって」はサビにぴったりだったんですね。
そしてそのアイディアとほぼ同時にあの短調のピアノのテーマフレーズもできました。これが良かったですね。このピアノフレーズができなかったらメタルリメイクもなかったと思うので、本当に良いタイミングでつながってくれたと思います。長調と短調を行き来しますが、そのつながり方が結構気持ちよく、また長調と短調のそれぞれに違った種類でテーマ的なメロディがあるのもクラシック的な感じですごく気に入っています。
また、この曲のリードギターはすべて私が弾いています(といってもABILITYのビートエディタで編集しまくりのインチキソロではありますが)。これを弾いた当時はまだ打ち込み主体で作っていて、「打ち込みだと何でもできてしまいどうしても味気ない。下手でもいいのであえて自分で弾いてみてそれが味があってよいという方向性もありなのでは」と思い、サンドハウスで安めのフライングVを買い、弾いてみました。これがすごく良く(私にとって)、生のギターの打ち込みでは出せない人間味に非常に魅了され、このアルバムの生ギター導入につながることになりました。私のギターは決してうまくはありませんが、このアルバムでいろんな人の力を借りまくった後、最後に私の単独アレンジ、単独ギターソロで勝負しているのは潔くて好きです。
この曲のみミックスは飛澤正人様。アコースティック部分はアコースティックらしい音色を保った状態でメタルサウンドをしっかりと聴かせるミックスはかなり大変だったと思いますが、私が表現したい世界観を見事に具現化してくださいました。


~Bonus Track~
SPEED STAR

アルバム「MISTAKE」1曲目に収録されていた曲です。本人も非常に気に入っていて、ベストアルバム収録曲候補だったのですが、ヴォーカルを録り直す時間がとれなく見送られました。今回の配信用リメイクでようやく録り直すことができました。
歌詞は夢(寝ている時に見る方の)について色々と思うことを、宇宙をイメージするような星の流れと重ねて書いたもので、詞の納得度においては私の曲の中でもトップクラスに気に入っています。
ギターは池住祥平様(Arbus)。これまでと同様素晴らしい演奏をしてくださいました。


長文、最後まで読んでいただきありがとうございました。 

試聴トレイラー

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